第1章 ~ATOBE KEIGO~
それを黙って見ていると、
「もーツッコんでよ…私がスベったみたいじゃない」
「アーン?何だ?」
「まーいいや。いーよ、マネージャーなっても」
「いいのか?」
「知らないのに入るよりはよっぽどいいしね~…それに拒否権ないんじゃないの?」
「…当たり前だ」
「じゃあヨロシクね、跡部様❤」
はニコッと笑うと、生徒会室を出て行った
「…アイツらみてぇに様とか呼んでんじゃねぇよ………」
景吾の呟きは誰もいない部屋に静かに消えていった
それから暫く経ち、が部員に馴染むのに時間は掛からなかった。
マネージャーの仕事もそつなくこなし、スコアやテーピングも出来る
俺の目に狂いはなかった
………はずだった
その日、私はいつものように部活に向かう為、靴箱を開く
そして履く前に、おもむろに靴をひっくり返す
手に転がり落ちてきた画鋲
私は気にすることなく靴を履く
そして画鋲を持っていたケースに入れた
「結構貯まったな…」
その中には大量の画鋲が入っていて、私は小さく息を吐くと、部室へと向かっていった
自分がマネージャーになってから始まった嫌がらせ。
相手は大方、跡部くんのファン。
やっかみや嫉妬といえばそうなんだろうけど、当然といえば当然な訳で…
(急に現れた私がマネージャーだもんね…)
でも実はあまり気にしていない
物が無くなったり、悪口叩かれたりしたら困るんだろうけど、そんなことも無い
この学園には裕福な家庭が多く、流石に嫌がらせしているとかバレると分が悪いのか、靴に画鋲入れられるとか、そんな古典的な内容くらいだから気にするだけ馬鹿らしい
私は何事も無かったかのように部室の扉を開いた