第1章 ~ATOBE KEIGO~
「どうにかって…全部、景ちゃんのせいやん」
「……ところで、転入生はドコだ」
「転入生て…ちゃんのコト?」
「…もう名前で呼んでんのか」
「呼んでええて言うから♪もーめっさ綺麗な子やで?足もスラッとして長いし…」
「で?ドコだ」
「さっきから俺の話スルーやん…ま、ええけど。さっきまでおったんやけど……あ、おったおった」
忍足が指を差す方向に目を向けると、丁度、教室へ入ってくる一人の女
写真で見た顔と一致したのを確認すると、俺はそいつの前に立ちはだかった
「ぇ…あの…」
「転入生だな。付いてこい」
それだけ言うと、さっさと教室を出る
悲鳴とざわつきが増す中、振り返ると、転入生はまだそのままで
「どうした、早くしろ」
「…どうして?」
「アーン?」
「どうして私が訳も分からないまま着いて行かなきゃいけないの?」
その言葉に辺りが静まり返る
俺も思いがけない返答に二の句が告げないでいると、一人喉で笑うヤツを見つけ、目を細めた
「あーむっちゃ腹痛い…」
「忍足てめえ…」
「いやいや、そりゃ跡部がアカンて。ちゃん、悪い人やないから着いたったげて?」
「侑士くん…」
背中をポンと押された彼女は、渋々といった感じでようやく俺の元へやってくる
「……行くぞ」
周りが次第にざわついていく中、忍足は、二人の背中を見つめていた
(跡部に言い返すなんて……ウチの学園にはおらへんかったのになぁ…)
おもろいコトになりそぅや…