第12章 荒ぶる昇竜と、乱華する牡丹
「も、もう…」
「わ、私…も…」
肩越しに、蕩けた表情て潤を返り見た智は、結わえたままの手を茎へと伸ばした。
そこに潤の手が重なり、細腰に打ち付ける速さよりも、更に速く動き始め…
「も、も…ぅ…、あ、あ、あぁ…っ…」
「おいら…も…、くっ…」
かつて無い程に膨れ上がった茎は脈打ち、潤が一瞬息を詰めた瞬間、まるで夜空に上がった花火かのように爆ぜた。
そして智も…
「あ、は…ぁ…」
自身の手と、そこに添えられた潤の手を、大量の熱で濡らした。
「大丈夫…かい…?」
息を整える間もなく智の中から抜け出た潤は、細い手首を結わえた紐を解き、意識の朦朧とする智の頬を撫でた。
「済まねぇ…。おいら、加減出来ずにあんたに無理をさせちまった…よな?」
申し訳無さそうにする潤に、本当は動かすことさえ億劫に感じる首を横に振り応える。
「本当に…かい?」
「ええ…、本当に…」
爆ぜた後の脱力と、同時に感じる気怠さとで瞼が閉じてしまいそうになりながら、智は汗と涙で濡れた顔に笑みを浮かべた。
「もう一度抱き締めてはくれませんか?」
智の懇願に応えるかのように、潤は細い身体を両の腕で強く抱き締めると、まだ整わない息を繰り返す唇に自身のそれを重ねた。
幸せ…だった。
この温かな腕と、全てを包見込むような広い胸に、ずっと包まれていたかった。
でもそれは叶わない夢だということを、深い眠りに墜ち行く中で、智は感じていた。