第12章 荒ぶる昇竜と、乱華する牡丹
やがて、幼さを残したままの茎は目一杯に膨れ上がり、一層荒い息を吐きながら、智の眉間に深い皺が寄り、苦悶の表情が浮かんだ。
「も、もう…」
いよいよ達する…と、智の身体がぶるりと震えたその時、忙しなく動く手を、不意に伸びた潤の手が止めた。
「まだ…だ…。まだ…駄目だ…」
「で、でも…。んっ…」
「一緒が良い…」
「え…?」
とろりと、今にも蕩けてしまいそうな顔の智が、小首を傾げて潤を見下ろす。
「おいら、あんたと一緒に…」
「良い…のです…か?」
「ああ…」
「嬉し…ぃ…」
これまで幾度となく翔と情を交わしてきた智だったが、翔から同時になどと求められたことは、数える程しかなく…
自ら願うことなく求められたことが余程嬉しかったのか、自ら潤の眼前に両手を差し出した。
潤は迷うことなく智の手首を細帯で結わえると、智の細い腰を両手で持ち上げ、布団の上に俯せた。
「綺麗だ…」
白い肌に乱華する牡丹の花弁を、指の先でそっと撫でた。
そして細腰を持ち上げると、まるで誘っているかのようにひくひくとする菊門に、反り勃った茎を捩じ込んだ。
膝立ちの格好で乱暴に腰を打ち付けると、潤の動きに合わせるかのように、智の長い黒髪が布団の上で流線を描いた。