第11章 募る恋情と、隠せぬ想い
瞼が開くと同士に、ぱさりと音がしそうな程に長い睫毛がゆっくりと持ち上がり、虚ろな目が智を捉えた。
「ごめん…なさい、起こしてしまいましたか?」
「いいや、丁度夢を見ててな…」
「夢…ですか?」
それほどんな…と、尋ねようと小首を傾げた智に、潤はさも嬉しそうに顔を綻ばせる。
「良い夢…だったんですね」
潤の表情から、その夢は決して潤を苦しめる物では無かったことを察した智は、潤の頬に手を当て微笑みかけた。
「何て言うかよぉ、すげぇ良い夢だった」
「そうですか、それはようございましたね」
「あ、ああ…」
まさか夢の中にあんたが出て来たなんて、言えねぇよな…
思いながらゆっくり身体を起こした潤の背中に、咄嗟に伸ばした智の手がそっと添えられる。
「すまねぇ」
「いえ…」
互いの息がぶつかる程に距離が近くなったせいか、智の髪から仄かに香る甘い匂いが、潤の鼻先を擽った。
その瞬間、胸の奥底に押さえ込んでいた感情が溢れ出し…
「あっ…」
小さな悲鳴と共に、智の細い身体はまだ温もりの残る布団へと押し倒され、そして…
「じゅ…、んっ…」
言いかけた智の唇が、潤のささくれ立った唇に塞がれた。