第6章 白き手指で描かるる流線
翔の膝に跨り、無心に腰を揺らす智を見て、翔はこのままでは智の身体がばらばらになってしまうのではないかと不安になる。
それ程智の動きは激しく、少しでも気を許せば翔の方が先に果ててしまいそうな感覚にさえせられる。
「智、少しは気を鎮めないと、お前の身体が…」
智の身を案じ、声をかける翔だが、無我夢中で腰を揺らし続ける智の耳には、一言足りとも届いてはいない。
まずいな、このままでは私の方が先に…
さて、どうしたものか…
智より先に果てるわけにはいかないと、妙な自尊心に攻め立てられる翔は …
「しっかり捕まっておくんだぞ? いいね?」
届かないと知りつつも、智の耳元に囁きかけると、勢いを付けて立ち上がった。
「え、あ、いや…ぁ…」
壁に智の背を凭せかけ、下から何度も突き上げてやると、智はきゅっと翔の肩にしがみついた。
「どうした、怖いのか?」
翔の問いかけに、智はこくこくと首を上下に振って答える。
「しっかり私に掴まっていれば大丈夫だから、安心しなさい」
「で、でも…」
いくら安心しろと言われたところで、身体が宙に浮いた状態では、辛うじて翔の支えがあるものの、恐ろしいのは当然で…
にも関わらず、腰を打ち付けられる度に全身を駆ける快楽の波には抗えない。