第11章 闇 終
火影室の扉を閉め、廊下で待つ花奏の方を見た。
やっぱ、そうなるわな……。
目を充血させて むせび泣き、
手で何度も涙をぬぐう。
「カカシ……、だいじょうぶ? 私ずっといっしょにいるから。 だから泣かないで……?」
花奏は目をこすり、鼻をすする。
いや、泣いてるのはお前でしょ。
「カカシ……つらいね……」
ぎゅっとカカシに抱きつき、わんわん泣く花奏。さっきと逆だな、って思った。
でも、これ以上
迷惑は かけられない。
だから、今度はオレから離れて、花奏の肩をたたいた。
「だいじょうぶだって。 心配しなくていい。 花奏の家送るよ。遅いし」
言いきったあと、花奏が近寄る。 じぃっと目を見つめてくる。 なにかを探るように。観察するように。
「いま、……ウソついた」
「は?」素っ頓狂な声が出た。
「ウソついたら針1000本飲まなきゃいけないよ? それか閻魔大王に舌を取られちゃうよ? いいの?」
「なにガキみたいなこと言ってんの。 ウソじゃ……」
そう言いかけて思い出す。コイツに嘘つけないんだった。すぐバレるんだっけ。
花奏の顔が、
むむむむっと、への字口に変わる。
「カカシ、無理してる。
だいじょうぶじゃない」
花奏はすぐに顔を変えて、
笑みを浮かべる。
「そばにいてって言ったよね? だから今日はカカシのそばにいるよ。 いっしょに寝よっか」
ねる…………寝る!?
「は? 寝ないに決まってるでしょ。 ガキじゃないよ、オレは」
「あ! カカシ、ちょっと焦った!」
と花奏。
「焦ってない!」ってオレが言ったのに、ニコリと笑ったまま。
ぎゅっと手を繋ぐ。
ん? なんでオレの手を握るわけ?
手が濡れてた。涙を拭き過ぎて濡れてるのか、汗なのか、よくわからない。
「じゃあ帰ろっか」
そう言って歩き出す花奏に、カカシは引っ張られる。連行されるみたいで、強引すぎる。
「オ、オイ! オレはまだ、なんにも言ってないでしょ」
「いいから、いいから! 気にしない気にしない」
優しく笑みを浮かべて
手を握り廊下を歩く。
「なにを言われても、今日はそばにいるから」
「……わかったよ、 ありがと」
オレはたぶん、顔がゆるんでた。