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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第11章 闇 終


「どうした、カカシ……? 目が真っ赤ではないか」





三代目である猿飛ヒルゼンは、
突然現れた小さな来訪者に、
目を見開く。


忍達が提出した報告書を、
キセルをくわえて
まとめて目を通していたときだ。


コンコンコン。小さなノックが聞こえた。

猿飛は巻物を見つつ返事をすれば、
カカシが入室してきた。



「おう、カカシか、どうし」

頭を上げた猿飛は思わず固まる。くわえたキセルを落っことしそうであった。



カカシの頬に、幾度も滴がつたった跡が残り、目は痛々しいほど血走る。

つい数分前まで、涙した姿に
猿飛は困惑して、首を傾げた。


なにがあれば、
ここまで泣く必要がある。

なぜ、泣いておるのじゃ、カカシは……。

ふと、猿飛は壁に掛けた時計を見上げた。
時間の針は午後8時を指す。


なにがあった?

なにが起こった……?


猿飛は怪訝に思う。

中忍といえど、カカシは7歳。

午後6時30分前後までかかった
今日の任務は遠方であり豊作のため、特例であった。

普段ならば、日が暮れる
午後5時までに、終わるよう調整している。


「任務後は直帰で良い」と
芋掘りに向かう3人には
事前に伝えた。


わざわざ、夜に火影室へ
出向かなくていいのだ。


そう。

緊急時以外、来る必要はない……。


猿飛は、一気に
ざわざわした胸騒ぎが起こる。

緊急事態か。

猿飛は、すぐに視線を窓の外へと移す。

大きな窓からは、街全体を見渡せる。


事件やトラブルが発生すれば、
瞬時に指示が出すためだ。


窓から見える夜景は、
赤や白、黄色、青、人工的な光が灯り、街が輝く。

夜空に雲はなく、
薄い金色に輝く満月が
ぼんやりと浮かび、星が瞬いていた。


敵の来襲ではない。


再びカカシに目を向けた猿飛は、
キセルを灰皿に置く。


「なにがあったのじゃ? 言うてみろ」


優しく聞いたつもりが焦りも混じり、
口調はきつくなる。


非常事態。

猿飛は嫌な汗が手に滲んだ。

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