第11章 闇 終
「はいはーい!」
パタパタと、スリッパの足音が近づく。玄関にたどり着いて、任服を着た同じ背丈の人影が、ドアのガラス越しに映った。
ガチャガチャ、と
玄関口で 鍵の開く音が響く。
カカシは待てなかった。
「どうし」たの?
そう花奏が発したときには、
カカシは腕を引っ張り、
身体を引き寄せて抱きしめていた。
「1分だけ、待って……お願いだから。 あと、オレの顔見ないで。ひどいから」
カカシは同じ言葉を繰り返す。
待って……お願い。今だけ……。
花奏の頭を手のひらで引き寄せる。ふわふわトイプードルみたいな2つくくりの髪が、カカシの頬に当たった。
「……カカシ?」
抱きしめられ、花奏は、ぽかんとしている。
いつもと違う姿に困惑した表情を浮かべた。
「ごめん……」
もっとひっつきたくて、
背中にちいさな手がふれる。
「そばにいて、花奏……」
声は震えて、途切れ途切れだった。