第11章 闇 終
消えたい、と思った。
喧騒な商店街。
人だかりを押しのけてカカシは走る。
嗚咽を漏らした。
「なんでなんだよ、父さん! オレはひとりになろうとどーだっていーの!? オレは父さんの息子でしょーが!」
靴を履いてない。裸足だ。砂利が足裏に食い込んだ。摩擦で足底は、ずきずきと痛み、皮がめくれて、血もにじんでいた。
「どーしてオレは!!……オレは……あんな言い方しかできない……?」
胸が痛んだ。
消えたい。消えたい。消えたい。
消えてなくなりたい。
なんでオレは我慢できなかった。
なんで父さんはアイツを責めなかった。
なんで、黙っていた。
どうして、
三代目に父さんは報告しなかった?
父さんは、
待ってたんじゃないのか。
自分の口から言ってくるのを。
待ってたんじゃないのか。
謝ってくるのを。
カカシはじぶんの不憫な心を嗤った。
ヤナギは
傷ついた顔で、オレを見ていた。
なあ、父さんの敵討ちでもしたつもりか?
あんな顔をさせても、言わないとダメな言葉だったか?
カカシは自分で自分を、
この日ほど嫌いになった日はなかった。
ごめん。
今さら言っても、もう遅いよな。
手遅れだ。
ごめん……ごめん……。
カカシは、繰り返し頭の中で懺悔していた。