第11章 闇 終
カカシは、
黙っていられなかった。
「フジさん、父さんが亡くなった。自分で命を絶った。オレは三代目に報告しに行く。 あんたの嫁のことも、喋るからな」
フジは、目を剥いてカカシを見つめる。 カカシに喋っていたとは、想像すらしていなかったからだ。
フジの顔は、瞬く間に血の気が引いてゆく。
「カカシ! ま、待ってくれ! ちがう、話を聞いてくれ」
カカシの肩を両手で掴む。声は震えた。
慌てふためく父親と、激昂するカカシを、
ヤナギは困惑した顔で、交互に見つめた。
「カカシの父さんが亡くなった……? ……っなんだよ、母さんがなに したんだよ。母さんは家にいるのに、なにを報告するんだ?」
カカシは、フジの手を払い、腹に溜まった鬱憤を晴らすように、声を荒げてしまう。
「スパイ活動してたんだよ! おまえの母親が! フジさんに毎晩、幻術でもかけて情報を盗んだんでしょうが!」
カカシは心底から
さらに叫び声をあげる。
「おまえの母親は、里の機密情報を
霧隠れの里に売ったんだよ!」
言いきったあと、周りを見た。
ざわ…ざわざわ……と、人だかりが出来ていた。
はあ……はあ…………。言った。言ってしまった。戻れない。いや、これでいい。
カカシは、唾を飲み込み、言葉を吐き捨てる。
「三代目に報告してくる。 拘束されるのも時間の問題でしょ。逃げるなら今のうちだよ」
ふたりの凍りついた表情を背中に向けて、星空の下、カカシは走り去っていく。
三代目がいるアカデミーに、
カカシは向かっていなかった。