第26章 帰還
「ーーで、なんでしょうか。お話というのは」
「うむ。まあ、これでも食え」
と3代目が木箱を私に渡した。
なんと、差し入れだ。
甘い匂いがする。
カカシが遠慮したのか、お見舞い品か、お供え品か、だれかの貰い物か、とにかく、よく分からないが、貰えるモノは、遠慮なくもらうのが礼儀だ。
「わぁ、ありがとうございます!」
私は受け取り、蓋をひらいた。綺麗な木箱のなかには、桜餅や、ぼた餅。柏餅、わらび餅、みたらし団子が入っている。
様々の種類のお餅が彩り豊かに詰まれている。しかも一口サイズで。
なんて美味しそうなのか。
なんて可愛らしいのか。
「食べていいですか?カカシもいる?」
「ん?いや、オレいいわ。甘いモノ苦手だし」とカカシは断った。
自来也さまにも聞いたが、「酒のほうがよい。病院で飲むわけにゃあいかんしのぉ」なんてワケのわからない答えが返ってきた。
「じゃあ、いただきます」と満面の私は、一口大のピンク色の桜餅を、爪楊枝を刺して、そのまま口に入れた。
「っ!あーおいしぃ!」
途端に口の中に餡ともち米が広がる。ほんのりした甘さ。さらに塩味もする。美味しい。口がトロけた。
「とっても美味しいです。3代目、ありがとうございます」
あとで暗部の仲間に
あげようかな。
なんて美味な餅だろうか。
「うむ。…話と言うのはのぉ……」
と、3代目は話し始めたと思ったが、渋るのだ。なかなか言わない。
なんだろうか。
私は待ってる間、口を忙しなく動かした。知らぬ間に、桜餅はあっという間になくなる。
2個目をさした。次はぼた餅を食べた。柔らかくて美味。もち米がふわふわで食べやすい。ああ、つい口が笑う。美味しい。しあわせ。生きててよかった。それは言い過ぎか。
もぐもぐ無遠慮に食べていれば、
3代目が「ふむ…」とようやく口を開いた。