第26章 帰還
3人のそばに近寄ると
急に3代目の身体が動く。
丸椅子から
席を立たれるのだ。
なぜだ。
部屋を出るのか。
用事か。
と思ったが
そうじゃない。
私の方に
自分が先ほどまで座っていた
丸椅子を渡すのだ。
「ほれ、花奏、使うのじゃ。疲れるであろう」
当たり前に3代目が言うのだ。
猿飛ヒルゼンさまが。
なにを血迷うのか
年老いた爺さまが
20歳の私に席を譲ると言うのだ。
「ぇえ"っ…!?ご冗談を。とんでもございません!申し訳ないです。立ってます!私立ってます!」
なんでいち忍が三代目火影を立たすのだ。前代未聞だ。相手は私の倍どころか、2回り以上の年寄りだぞ。
大ごとになる。
逆に立たせた私が
怒られるわ。
私は否定した。
そりゃあ必死に。
「そうだ。私今リハビリ中なんですよ。だから訓練になりますし、大丈夫です。どうぞお気遣いなく」
私は顔を右左に振って
お断りした。
勘弁してくれと。
「……」
3代目。
じい様は
まあ頑固だった。
座れ。と威圧的な
無言の視線の指示が飛ぶ。
眼力が半端ない。
シワが深くなる。
「いや…でも…あの」
私が戸惑うのに
「座ったら?」とカカシは言うし。
みんなが待ってる。
え、私がおかしいの。
老人を立たせる私が正しいのか。
どうなのだ。え?
「はぁ。さっさと座らんかい」
自来也さまが丸椅子をたたく。
「は、はい…」
促されて、
私はとうとう
丸椅子に腰掛けた。
これほど居心地の悪い席は、そうそうお目にかかれないぞ。……なんでだ。