第26章 帰還
「お、もう休憩か?」
私と紅が喋っていると
アスマがきた。
タオルを首に巻く。
汗がひたいから流れる。
病院外でジョギングしてきたようだ。
アスマが近づくと
私は気づく。
煙草…臭い。20歳になった途端に煙草を吸い出したアスマ。あ、ジョギングついでに吸ってきたんだ。悪いヤツだ。臭いがついちゃうのに。
「花奏、大丈夫なのか?腹は」
座る紅のとなりにアスマが腰掛けた。お茶が入った紙コップを、私と紅に渡してくれた。
「アスマありがとう。いまは大丈夫だよ。明日には退院だからね」
私は受け取ったお茶を
飲んだ。美味しい。
一気に飲みきった。
「そうか。紅から話は聞いたぜ。なんか面白そうなクラスがいるらしいな。オレも仲間に入れろよ」
アスマは面白そうに目を細めて、お茶をすする。Tシャツ姿で。腕に包帯が巻かれてる。
紅だって綺麗な顔に怪我の跡がある。元気そうに見えるけど、本当は、服のなかは、ボロボロだろう。
「うん。アスマも聞いてよ。面白い子がいっぱいなんだよ」
私は黄金クラスを思い出した。「あのね」と言って思わず口もとを押さえてクスクス笑った。
ポテチをずっと食べてる男の子を思い出したのだ。いつも食べてる。チョウジのお父さんのチョウザさんも大きな体格だ。成長すれば、身体を生かした技を炸裂するはずだ。
ガイがダンベル運動を終えてジョギングに行こうとしたから、ガイを呼んだ。
「ねえ、ふたりとも、あ、ガイもね、アカデミーにおいでよ。一回見に来てよ。きっと面白いって思うよ」
喋る私はやけに
笑顔だった。