第26章 帰還
周りを見渡すと
負傷レベルに合わせて
みんな訓練している。
足や腕を骨折をした仲間は、日常生活動作訓練から始める。骨折した腕や脚は固定させたまま、平行棒で往復歩行練習や、椅子を使い、立ち座りの練習を行う。
傷が治って来た者は、杖歩行やU字形歩行器を使い、スタッフに付き添われながら、フロアで歩行訓練を実施する。
机に座る仲間もいる。卓上に置かれたリハビリ道具を使い、負傷した手を使い、手先の細かな作業や手の運動をこなすのだ。
奥のマット上では、リハビリ医師から身体を動かす訓練指導を受ける者や、自主訓練で柔軟体操する仲間もいる。
重傷じゃない仲間は、病院外で走り込みや懸垂、腹筋、背筋、腕立て伏せなど、演習並の機能訓練を実施する。
テンゾウはいつもの被り物をはずして、
マット上で腹筋している。
「300…301…」の
かけ声とともに。
女性陣も真剣だ。
男並みのメニューをこなしている。
みんなの目の色がちがう。リハビリに向ける情熱がちがう。空気からちがった。