第26章 帰還
朝食後。30分ぐらい、のんびりしてから、私は壁の手すりをつたい、リハビリ室にむかった。
歩くだけでも訓練になる。足の感覚すらおぼつかない。どうも地に足がつかない。ふわふわした感じだ。
臥床ばかりだったからかな。
医師も言ってた。
軽めからスタートだ。
明るい廊下を進むと
バリアフリーの大きな部屋に到着した。
扉を開ける前から
活気ある声が中から響いた。
すでに暗部の仲間は
訓練を開始する。
ひらき扉をあけて、1歩なかへ入ると
「おぉ!!花奏じゃないか!久しぶりだな!元気そうだな!!」
と、大きなリハビリ室の隅々まで
巨大な声が響き渡った。
声にビクついた私は
身体がのけぞる。
どデカイ挨拶に合わせて、振り向いた後輩たちが次々と私に「花奏先輩!おはようございます!」と声をかけてくれた。
「あはは。みんな…おはよう…はは」
顔が引きつる。勘弁してよ。大注目じゃんか。バカバカバカ。
うぅ…もぅ。
「花奏、なにしてんだ!おそいぞ!オレがいちばん乗りだ!さあ、いっしょに青春を始めようじゃないか!」
え。やだ暑苦しい……。
熱い笑顔と輝く白い歯。
元気な声が届いた。
「ガイおはよう。ご飯食べてから、ボーッとしちゃってたよ。あはは」
苦笑いの私は頭に手をのせた。
いま、私はリハビリ用のTシャツに長ズボン姿だ。さらに紺色の長袖ジャージを着用する。
ガイはちがう。全身緑色のタイツ姿。ぴったりの特性スーツを身につける。普段はさらに木ノ葉のベストを身につける。
スーツは耐久性に優れて通気性抜群。
超万能特別使用……らしい。
何回も何回も幼少期から聞いてきた。
よく覚えてる。頭に叩き込まれてる。
濃い友だちはアカデミー時代から
容姿も性格もあまり変わらない。
漆黒のオカッパ頭で彫りが深い。太い眉毛の目立つ顔だち。
じつは、ガイは寝転んだ状態から
私に声をかけてくれた。
マットのベンチに寝転び、ダンベルプレス中だ。ガイの目はメラメラと燃える。汗が全身をしたたる。みなぎる闘志。
重いダンベルを上げ下げするが、
スピードが尋常じゃない。
これ…リハビリじゃない。
身体を鍛えるジム化している。
彼の周りだけ幻の炎がみえる。片方重量1100kgの文字。総重量は200kg。ひぃ…。