第26章 帰還
私は部屋に戻ると、その日1日
病室で安静に過ごした。
医療班が私の診察に来て、問題なしと太鼓判を押した。忍の方は回復が早いですからね。とも言っていた。明後日には退院できるようだ。
静かに寝てると
お腹の痛みは多少軽減していた。
夜、5日ぶりのシャワーを浴びた。生き返る。しあわせだった。寝る前に歯磨きを終えてから、カカシの部屋を覗いた。
「カカシ、おやすみなさい」
挨拶して寝ようと思ったけれど、
私の姿を見たカカシが半眼だ。
ついでに手をこまねきするのだ。
え。なんで。
「……カカシ?どうしたの?」
不機嫌?どうしたのだろうか。
不思議だ。私は戸惑う。
「あー、花奏、ちょっと来て」
とカカシ。
なにか用事が
あるような言い方で。
「なにか…話?」
なにかしたかな。
寝てただけなんだけど。
扉を閉めた。
そばに近寄ると
カカシが自分の布団をめくった。
端に寄り空いてるスペースを
軽快に叩くのだ。
「なかに入って」
「なんで?」
消灯時間はとっくに過ぎてる。
いま夜の10時だよ。
寝なきゃ。
「花奏、忘れてるでしょ」
カカシがすねた顔で口を尖らす。
「あ」
ああ…ほんとだ。
忘れてた。
「あははは。ごめんね。一日安静になってて言われたからさ」
寝ていた。ぐーすか。
ご飯以外。気持ちよかった。おかげで身体が軽いのだ。
「……言い訳無用。こっち来なよ」
カカシは口布を外していた。病院のパジャマ姿で、私がベッドの中に入るのを待っている。
「いま抱きしめたいの。
な?ホラおいでよ」
猫みたいに呼ぶ。
悪い顔で笑っている。
危険だ。
頭に警報音が鳴る。危ない。早く寝ろ。この場を立ち去れ。ここは病院だぞと。
「えと、……あ、私もう寝るね。また明日にしよっか、ね」
と言った私の腕は簡単に捕獲される。
「はい、捕まえた」
ベッドの中に
簡単に引き込まれた私。
なんと素早い。
電気まで消しちゃう。