第26章 帰還
「イタチに…感謝しないとな」
カカシが私を優しく抱きしめたまま
ぽつり喋った。思わず私は顔を見上げた。
「なんで知ってるの?」
「ん?匂いでわかるよ。あと、お前のチャクラを見ればわかるしね」
そう言ったカカシが顔を傾けた。
普通だった。口布を外して自然に。
極々当たり前に、瞳を薄めて触れるだけのキスを落とした。息がもれる。途端に私の肩が跳ねる。いきなり過ぎてびっくりした。
「っ……カカシ…もう…」
……恥ずかしい。ドアは閉まってる。良かった。カカシの部屋が個室でよかった。だれかに見られたら恥ずかしい。
「なあ、ベッドのなかに入って来てよ。
もっと触りたいんだよな」
なんてカカシが誘うのだ。
ダメ。ぜったいにダメ。
ここは病室だよ。
「あ、あああの、わわ私、あ!そう、そうだ。まだ診察がね、終わってなくてね」
私が喋り終えたときには、すでに腕が捕まってて、そのままベッドの中に引き込まれた後で。
傷が痛まないよう
背後から抱きしめられた。
「カカシ…ダメだよ…もう…」
「ほら寒いでしょ?布団の中入りなよ」
布団をお腹までかけてくれたけど、こんな恥ずかしい姿をだれかに見られたくない。考えるだけで湯気が出る。
うう…恥ずかしい。
カカシは後ろから抱きしめて
優しく私のお腹に手をふれた。
「花奏…腹、痛むか?」
あたたかい体温が背中から伝わる。
優しい声が耳に当たる。甘い舌が耳に触れた。
「…っ!!う、うん。大丈夫だよ」
ビクンって体が反応してしまう。耳は性感帯で。身体は正直だ。好きなひとが触れるだけで、こんなにも喜んでる。
「花奏がさ、目覚さなかったらって思ったら…恐かったよ。だから今無性に触れたいんだよな。なあ、身体治ったら、いっぱい……しような?」
甘ったるい情事の声で
誘うカカシ。
顔が見れない。
ぜったい見たら流されちゃう。
「うん…いっぱいしようね…」
「え?」
私が返事したら
困ったように笑う声を出したのは
カカシで。