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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第26章 帰還


「カカシの部屋はどこ?」

「ああ、カカシ先輩なら、となりですよ。じゃあ医師を……」

テンゾウは喋ってる途中だった。

私は布団をめくって柵を掴んで
ベッドから足を下ろしたのだ。

そのまま床に置いたスリッパに
裸足を突っ込んだ。

「テンゾウごめん。すぐに戻るから」

会いたい。

「となりだよね」

今すぐ…会いたいの。

そのままベッドから立ち上がると、
脇腹が痛んだ。

腹をおさえて歩けば
テンゾウがそばに寄った。

「花奏先輩、危ないですよ」

「あはは。だ、大丈夫だよ。ごめんね。行ってくるね」

4日間も寝てたからかな。身体に力が入らない。どうもふらつく。

でも顔が見たい。カカシの声が聞きたい。話がしたいの。彼に触れたい。

私はドアを開いた。

テンゾウの「もう、すぐ戻ってくださいよ」なんて言う嘆きが背中から聞こえて、クスクス笑った。

「ごめんごめん。テンゾウ、すぐに戻るから」

廊下を飛び出した私は
カカシの名前プレートが貼られた
隣室の扉をそっと開いた。

カカシはベッドを斜めに傾けて、
上体を起こし、本を読んでいた。

家宝にするなんて言った
自来也さまの本を。

「カカシ……!」

私はいつもの姿を見つけて、
笑顔で駆け寄った。

身体中に痛痛しいほど包帯が巻かれるけれど、後遺症が残るほどに見えない。大丈夫に見えた。

驚いて固まるカカシの胸に
そのまま飛び込んだ。

「よかったねカカシ、無事だったんだね…よかったぁ……もう!心配したんだよ?ぜっっったい、無茶しちゃダメだからね。約束して」

ぎゅうっと大きな背中に手を回した。
そこで気づく。カカシは背中を刺されたんだ。


「っ!!ご、ごめん!いい痛かったよね、ごめんね?大丈夫?」

大きな背中の手を離して
顔を見上げた。

カカシの表情が
いつの間にか、柔らかく溶けていた。
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