第25章 戦闘の終焉
「お前ら、……木ノ葉じゃねーな」
草木をかき分けて出てきた
先頭を歩く大柄な男が顔をしかめた。
「げ……なんだこいつ…」
ぞろぞろ背後から現れた残党達は
大刀を肩に掲げる鬼鮫の姿を見て、
目を仰天させた。
見上げるほどの高身長な男。2メートルぐらいあるだろうか。黒いロングマントで身を固め深紅色の雲が印象的だった。
「どこに所属してんだ?」
「コイツら雇われた別の抜け忍か…?」
問われても、なにも言わない鬼鮫は
敵の人数をかぞえる。
1人の残党が黒髪の男に
視線をむけた。
「…おい」
男は女の忍をおぶる。
ーーアイツは……。
お目当ての女は灰色の任服を着る。好都合にも手傷を負い瞳を閉じていた。
「木ノ葉の忍を置いてけ。交渉か捕虜に使う。逆らうなら殺す」
敵は当然のように花奏を
地面に置けと指さした。
「……ほう…」
たちまちイタチの眼光が
紅く染まる。厳しい目で睨んだ。
「……やれるものならやってみろ」
「ぁあ''?んだと?」
……いやはや。
好戦的なイタチさんだ。
「私がお相手しましょう」
鬼鮫は敵に迷うことなく足を進めた。不敵な笑みを浮かべながら。
「私の名は干柿鬼鮫。以後お見知りおきを」
鬼鮫は丁寧に自己紹介すると
白布に巻かれた大刀をかまえた。
ギャギャギャギャッ…。
愛刀は削る喜びを熟知する。布の隙間から鳴く刃を無数に広げた。鬼鮫は敵に焦点を合わせて射程距離に入ると言葉を繋いだ。
「まあ私の名前を覚えても、なんら意味はありませんがね」
歯向かう敵に容赦は微塵もしない。
鬼鮫は愛刀の鮫肌を削り回した。
防御すらできない残党が叫び声を響かせる。血が空を飛び散る。確実に殲滅させた。
それは一瞬だった。
死に絶えた敵は
白目をむいて地に倒れ伏した。
鬼鮫は傷ひとつ付いていない。
愛刀を肩にのせる。残忍な表情で嗤った。
「クク……なんと削りがいない」
ギャギャと愛刀も嗤う。
鬼鮫はまだ削り足りなかったが
仕方なく森を走り出した。
「鬼鮫、行くぞ」
すでにイタチが花奏を背負い
木ノ葉の方角に足を運んでいたからだ。