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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第25章 戦闘の終焉


「まったく……木ノ葉も堕ちたものですね」

太い枝を飛び越え、全力疾走するイタチを見据えて、鬼鮫は話しかけた。木ノ葉隠れ里はまだ見えない。


「白猫に化けた理由は、木ノ葉の動向を探る為ではなく、その女を助ける為……ですね」

鬼鮫は断言した。女を背負い走る姿を見つめながら。

「…いや。決してそうではないが……」

変化したのではない。実際には白い猫に意識だけを飛ばしただけだ。山中家の忍術。心転身の応用術を使ったのだ。

幼いサスケを見守る為に。たまに意識を飛ばし危険から身を守ってやるつもりだった。そんなとき、花奏が白猫に話しかける。

"帰れないかもしれない"

思いがけない言葉を聞いたイタチは
居ても立ってもいられない。

暁の任務が終えた後
すぐに雪ノ里へ向かったのだ。

「結果的には……
そうなってしまったがな」

イタチは走りながら
おぶる背をチラリと見た。

花奏さんに涙は似合わない。
幸せな人生を歩んでほしい。

オレのぶんまで……。



そう心に想い、先を急いだ。




数時間走り詰めると木ノ葉隠れ里の山々が見えてきた。あと少しで阿吽の門に着く。イタチは立ち止まり印を結んだ。

変化。

ポンと煙が上がり
一般の男性に化けた。

サスケを背負って向かった
あの日と同じように。


「鬼鮫、すまない。行ってくる」

鬼鮫に言うとイタチは一目散に
木ノ葉病院へと走り去った。



その姿を見て鬼鮫は溜息をついて
近くの岩に腰掛けた。



「イタチさんは、まだ木ノ葉の忍のようですね」



鬼鮫はイタチを見つめながら
ほんのりと笑みを作った。




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