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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第25章 戦闘の終焉


どのくらい時間が
経っただろうか。

5分かもしれない。
2時間かもしれない。

もっと長い時間が
経過したかもしれない。

まぶたの裏はまだ暗い。
明るい日差しは私に注いでいない。

ふと感じた遠くの気配。

なにかが
こちらに近づいてくる。

カカシ以外の気配がそばに寄れば、
どんなに眠りが深くとも、なぜか気づいた。

なにか。なにかが。
だれか。だれかが。

こちらに
向かって来る。

獣……だろうか?

ガサガサと森を駆け抜ける
音が遠くで響く。

狼か猪か。
はたまた大きな熊かもしれない。

私には、もう
なにが近づくのか
わからない。

探る気力すら残っていないのだ。
最後は喰われて終わりかな。

すでに諦める私は
指1本動かさないで
来るのを待っていた。

しだいにその足音は大きくなる。
不気味なほど静かだ。

走るスピードが
とてつもなく……速い。

この動き方は忍だろう。
しかも相当の手練れの。

近づく気配に恐怖心が膨らんだ。
残党や敵だったら……最悪だ。

枯葉を踏む音が突然大きく変わる。
近づく音が俊速になった。瞬身の術を使ったようだ。

緊迫する足音が
私の真ん前で止まった。

地に伏せる私の頭上で
息切れる吐息が耳に届いた。

だれ……だろうか。

荒い息のまま、忍は
腰を素早く下ろした。

腕を動かして、近づき
私の肩に触れた。

ーーっ!?

思わず身体を強張せる私の首すじに
触れたモノは、冷たい指先だった。

何時間も走ったのだろうか。
やけに冷たくて凍えている。

冷たい指の腹は
首の脈動に触れたまま
しばらく動かない。

ああ…そうか。
私の脈拍を診てるのか。

それから、すぐに私の胸の中心に耳を押し当てた。心音を聴いている。

たちまち
深い息を吐いた。

それは、大きく肩を揺らすほど
安堵した吐息だ。

だれ?

聞きたいけれど唇ひとつ動かない。
目を開けたいのに
まぶたが重くて開かない。

あなた…だれなの?

聞きたいのに私の唇は
ひとつも動かないでいた。

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