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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第25章 戦闘の終焉


「わぁ……きれい……」


雪ノ里の広大な夜空を
眺めた。

あまりの綺麗さに思わず息を飲んだ。
美しく眩い星が夜空に輝く。


柔らかな光で浮く月は
小さく端っこが欠けている。


真っ暗な高い山で
見上げる星空や月は格別だ。


私の家は、もう
燃えてしまったけれど。

山の奥地にお父さんが建てた。

赤い屋根で、遠くからでも
見えるように設計されたお家。


私のお父さんは
天体観測をするのが昔から
好きだった。


暗部で働くお父さんが休みの日に
夕食後、私を誘い庭で星空を眺めた。

特に寒い季節は
澄んだ星空が観れて
絶景だった。

私は小さな頃、
『どうして好きなの』
と聞いてみたことがあった。

お父さんは困った顔をして
そのまま夜空を眺めていた。



お母さんが亡くなった日。

星や月がとても綺麗に
瞬いていた。

『お母さんがな、空から見てる気がしてな。つい綺麗な星や月を探すようになったんだ』

私の頭をなでたお父さんは
寂しそうだった。

真っ暗な場所は
星がよく見える。

だからお父さんは
山の奥地に目立つ赤い家を建てた。

遠い天国からでも
お母さんが見えるように。

成長する私が
いつでも見えるように。


亡くなった人が迷わず
天国に行けるように、
夜空に星が輝いているんだよ。

お父さんはそう話していた。



家族が欲しいと思った。

カカシありがとうね。

最近笑ってくれるようになって、
私は嬉しい。

家族になりたかったんだよ。

でも

となりにいるのが
私じゃなくても
カカシに笑って欲しい。


カカシのそばで
笑ってくれる人がいるなら。

助けてくれる人がいるなら。

だれかが横にいるなら……

それが

それがね……



私じゃなくても


いいんだよ。






ゆっくりと夜空が揺らいで
涙がこぼれた。

まぶたを下ろして目の前が
真っ暗な闇に変わっても、

最後まで、
私の気がかりは
カカシのことだった。

大丈夫かな。心配だよ。

ひとりだった私を、
助けてくれたのはカカシだった。

ありがとうね。

カカシ……

そのまま、ゆっくり、ゆっくり、
暗い暗い意識が遠のいた……。


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