第25章 戦闘の終焉
何時間歩いただろうか。
高い木の枝で夜鳥が鳴いた。夜が深くなると冷たい風が息吹く。優しく月明かりが、私の行手を柔らかに照らした。
身震いする。身体が凍えた。血が漏れて固まり歩きにくい。足運びが徐々に鈍くなった。じわじわと私の体温が落ちているのだ。
「…っ、あ!」
ついに、小石すら避けれずにつまずいて、膝から崩れ落ちた。
「はぁ……はぁ……」
立ち上がる気力すら
もう……残っていない。
息があがり汗が滴る。
動くたびに激痛が身体中を襲った。
腹が特に痛みを増した。
「まだ……まだ…半分も…歩けてない……のになぁ」
四つん這いになっても
前を進んだ。
枯葉と雪の上を
這いつくばって歩いた。
いま敵に狙われたら。
もう、おしまいだろうな。
カカシ…ごめんね。
意識が朦朧としていた。
かすむ視界。薄くなる呼吸。
久しぶりに
大怪我をした。
ちがう。
歩けなくなるほどの酷い手傷を
負ったのは初めてだ。
いつも救いのヒーローのカカシが
私を助けてくれていた。
スーパーマンみたいに。
いつもカカシが
私を守ってくれていたの。
カカシの優しさに
甘え過ぎた私。
カカシは無事かな。
大丈夫かな。
心配だよ。
病院に着いただろうか。
それはさすがに、まだかな。
仲間はみんな大丈夫かな。
だれも命を落としてなきゃいいな。
「っ……いたた…」
とうとう、
顔に冷たい地面がぶち当たる。
枯葉は湿気で
冷たく濡れていた。
風で枯葉が落ちる。
カサカサと音がなり動いた。
口の中は血の味がする。
私は呻き声を出して、
仰向けになった。
もう動くことすら
ままならないのだ。
壮大な
天を見上げた。