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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第25章 戦闘の終焉


「じゃあ、今すぐに急いで向かってあげて。お願いね」
私が促しても、
テンゾウはおんぶしたまま悩んだ表情だった。


「…し、しかし、花奏さんも斬られていますね。さすがに置いていけません。一緒に帰りましょう」

後輩の視線は
私の傷を負ったお腹に向かう。

剣が貫いた腹は、包帯やガーゼで抑えても意味がない。血が滲み出ていた。首を横に振った。

「私は…大丈夫だよ。カカシをお願い。先に助けてあげて」

「しかし」

「テンゾウ、カカシはすぐに処置すれば救命できる。だから急いで。重症度に応じて優先順位をつけるのが任務の鉄則だよ。ましてや…カカシは暗部ろ班隊長。ここで死んじゃダメな人間なんだよ」


"カカシが死ねば
木ノ葉は一気に傾くぞ"

パックンの言葉が
心に繰り返し響いた。


「お願い。カカシを助けてあげて。私は大丈夫だから……ね?」


カカシが、
いま起きていなくて良かった。

素直にそう思ってしまう。

もし今意識があれば。

私を優先しろって
言いそうだ。

ごめんね、カカシ。
あと少しの辛抱だよ。

頑張って。ごめんね。

テンゾウにおんぶされた
カカシの手首を優しく握った。

脈は微弱だけど大丈夫。
全速力で帰還すれば、間に合う。

ほんの少し、
カカシの指の動きが伝わり、
安堵の顔を出した。



「ごめんね。テンゾウ無理させて。ほら早く木ノ葉に至急帰ってあげて。私は大丈夫だから」

笑顔を作っても
テンゾウは苦慮して動かない。

「テンゾウ、この時間すら惜しいよ。お願いだから、行って‼︎」

私が強く言えば
ようやく決心したように
テンゾウが静かに頷いた。

「……わかりました……では帰還後すぐに応援を呼びますから!!」

私は「うん」と何度も頷き、
遠くに消える姿を見送った。



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