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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第24章 戦場


「っ!!!」

ーーしまった…!!


チャクラ刀を構える私は、まるで反応できない。

凄まじい速さで無数の雪の剣が、私の身体めがけて、矢継ぎ早に次々と飛んでくる。

串刺しのように剣が身体を貫き、血反吐をはいて、地に倒れ落ちる。



ーーはずだった。

大きな身体がとっさに
私を覆ったのだ。

兎面が砕け散る。
もう一つの面も砕け落ちた。

同時に
私の眼前は暗闇に変わる。

灰色の暗部服が広がる。
目端には白の包帯が映った。

落ち着くあたたかい腕が、
私の背中を覆う。

私の身体を抱きしめた
大きな体が目の前で崩れ落ちた。





「っー!いやぁぁぁあ!!!」

金切り声の悲鳴をあげた。

刃が突き刺さる音と共に
大量の鮮血が地面に滴り落ちる。


「カカシ……」

私は慄然と凍りつく。
全身の血の気がひいて、震えた。


ーーどうして。

カカシは震える手のひらで、
私の頬を包んだ。


「おまえが死ぬのだけは……死んでも見たくない……そう言ったでしょ」

苦痛に顔を引きつらせて、
優しい表情で、悲しい表情で…、
無理して笑みを作った。

「花奏……ごめんな…」

崩れ落ちるカカシの口から
血を溢れた。

「カカシ……い、や…いや、まって…待って待って…!!」

カカシが力なく、ずるりと崩れ落ちる。
大きな身体を抱きかかえた。

「カカシ…カカシ…カカシ!!」

絨毯のうえに
おびただしい血が流れる。

「待って…ごめん…カカシ…」

一気に血が頭にのぼる。

ああ、なんで私は。私は…。
こんなに弱いの。動けないの…!

…庇って。
私なんかを庇って……!

「カ、カカシ……ごめん…ごめん…」

何度、
彼に言っただろうか。


ごめんね。と。
ありがとうを。

何度、繰り返した。
何度、つたえたの。
何度、私は助けてもらったの。


何ひとつ、満足にかえせていない。


「ごめん…ね。カカシ、ごめん…」

滝のように
ボタボタと涙が落ちた。




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