第24章 戦場
「……なにがあった?」
再度聞けば、
ようやくカカシは口を開けた。
「……他の仲間は全員下山させたよ。重傷じゃない。生死をさまよう重体の仲間ばかりだ。オレが危険だと判断した。傷を負った仲間をサポートしながら、任務につくのも厳しいからな。だから……ここから先は花奏と向かうから」
「カカシ……ふたりだけで戦うのか?」
「……ああ」
カカシは辛そうな声で頷いた。瞳は私を見つめる。
「……ごめんな」
「ううん。大丈夫だよ」
もう一度横に動かした。大丈夫。何度も苦難を乗り越えてきた。
パックンは
渋面のままカカシを見つめていた。
「カカシ、大将の首が取られたら、戦争は終わりだ。お前が死ねば、一気に木ノ葉は傾くぞ」
「……わかってる」
「カカシ、ワシが最初に話したことを覚えているか?」
「ロボットじゃないってことだろ?」
「それもだが、……お前が死ねば泣くからな。花奏もだ。死ぬなよ」
「ああ。がんばるよ」
「うん」
「花奏、…頼んだぞ」
「うん。パックン、心配しないで。私がカカシをサポートするから。がんばるよ」
ニッと兎面越しから口角をあげた。暗部に入隊して8年目だ。暗部にいれば、辛い任務の方が多かった。
でも、何度も何度も
みんなで苦難や死闘を乗り越えてきた。
「今回だって、きっと大丈夫だよ」
同調してもらおうと笑いかけたのに、明るさの消えたカカシは、静かに私を見ていた。
「……花奏」
辛そうに私に言うのだ。
「大丈夫だよ。頑張ろうね」
「…ごめんな。本当に無理するなよ」
「うん。わかってるよ」
といい、「でも」と私は付け足した。
「強敵が出たらお願いね」
さすがにカカシレベルの敵が出たら
太刀打ちできない。
「花奏、……頼むから、自分の命を大事にしてくれ。な?」
「うん。ありがとう」
「お前が死ぬのだけは、オレは……死んでも見たくないからな」
カカシは私の頭を優しく撫でた。その手は、どこか震えていた。