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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第24章 戦場


テンゾウから報告を受けたのは
最後の根城目前だった。


夕陽は西に沈む。橙の光が山々に放った。森に待機中の暗部の頭上に、深い青が広がる。星と黄金の月が静かに輝いた。

カカシは腕組みのまま
テンゾウに言葉を渡した。


「そうか……テンゾウありがとうな。オレが見落としていたようだ。悪かったな」

肩にふれた隊長の手は
小刻みに震えた。

仕方ない。

カカシの顔に落胆の色が走る。なにかを決断した目がテンゾウの瞳に映った。


「カカシ隊長!!それはちがいます!見落としたアタシが悪いんです」

空気を遮ったのはハギの声だ。
首を振って一歩前へ出た。

「数年間に及ぶ調査任務を行ったのは自分自身です。断崖絶壁の地形調査を実行したのは、花奏先輩が媚薬に侵された日。そのとき、変化はなにもありませんでした」

ハギははっきりと
ろ班隊長に正確な情報を伝えた。

次の言葉は
出る前から言い淀んだ。


「つまり、だから……断崖絶壁のアジトを見過ごしたのは、襲撃直前まで調査を行っていたアタシの責任です。なぜなら、それ以後あるはずの谷底の変化に、アタシが一切把握していないのですから」

獣面をハギは外して、こうべを垂らした。苦々しい顔が露出する。懺悔するハギは、静かにうなだれた。


落ち込むハギの頭を、
カカシは軽くなでた。

「顔を上げろよ、ほら」

言われて見上げたカカシの目尻は、
優しく下がっていた。


「ハギ、お前はなんにも悪くない。気にすんな。じぶんを責めるな。部下の責任はオレの責任だよ。だからハギは、なんにも悪くないよ」

「ですが…」

「逆に凄い手柄だ。短期間でなぜ作ったと思う?もしや、洞穴の中は媚薬貯蔵施設かもしれないだろ?」

カカシは続けた。

「ま、とにかく、この話はもう終わりだ。だから気にすんな。報告ありがとうな」


カカシは、ぽんぽんとハギの肩を数回たたき、そのまま仲間の輪の中心へ足を運んだ。

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