第24章 戦場
ボタンが目を覚ましたとき、ギョッとした。のん気に仰向けで寝ているからだ。すぐさま上体を起こせば、後頭部に激痛が走った。
「っ!」
ボタンの顔が歪む。後ろの頭をなでると、頭に包帯が巻かれる。
誰が…と疑問に持つ前に、優しい声が横から届いた。
「大丈夫かい?」
振り向くと、
猫面をつけたテンゾウが岩に座る。
「ありがとうございます。すみません応急処置までしてもらい……」
頭を下げた。敬語も当たり前に使うが、テンゾウは16歳でボタンは1つ年上だ。
やんなっちゃうなぁ……。情けなく肩を落とした。緊迫する任務なのに、頭を打って気を失うなんて……なにやってんの…。ボタンは自身を叱咤した。
「心配したよ」
テンゾウは猫面をなぜか外して立ち上がる。ボタンのおでこに温かい手のひらを置いた。
「っ…テンゾウ先輩?」
「し。黙って」
じっと目を見ている。全身のチャクラの流れを観察しているようだ。
真剣な目で顔や身体を見られて
ボタンの頬は赤く染まった。
「ボタン、どうしたんだい?顔が赤いよ?熱でもあるのかい?」
テンゾウは分からずに尋ねた。
さらに熱が顔に集まる。
「いえ、なんでもありません!」
なんで?カカシ隊長じゃないのに…!
どうして?ぐるぐる頭に混乱の渦が回った。
「気にしないでください」
キッパリ言ったが
困ったのはボタンの方だ。
恥ずかしい気持ちが溢れた。
「大丈夫そうだね」
頭を強打して心配したが、
元気そうな姿にテンゾウは顔を緩めた。
「じゃあ任務に行こ………」
ボタンをみた。正確には背後に目をやった。ここは断崖絶壁のはずだ。
見入る先に真っ暗な空洞が続く。
テンゾウは目をむいた。
「もしや……上にあるアジトは全部ダミーか!?」
早急にカカシ先輩に知らせなくては…!
猫面を付けてテンゾウは戦闘準備を施す。ボタンも巻物から新しい獣面を取り出して被った。
「ボタン、行くよ!」
足裏にチャクラを練り
一気に駆け上った。
「はい!」
大きなテンゾウの背中を追いかけて、ボタンも続いた。
帰ったら好きな人はいるのか聞いてみようかな……。やはり恋に生きる17歳。
テンゾウを見ながら、
そんなことを考えていた。