第24章 戦場
テンゾウは絶壁からもう一度飛んだ。
谷底ではボタンが枝に支えられて眠る。枝に足裏を乗せて降った。
「ボタン…」
近寄り肩を軽く譲るが目を覚さない。チャクラを調べた。やはり頭を強打したせいか波長が乱れる。
山ほど敵はいるが、寒く暗い谷底で1人寝かせたくは、なかった。
「っ…!」
テンゾウに突如立ちくらみが襲う。木遁の大樹林の術は、チャクラを半分も使う大技だ。雪ノ里の強敵な忍に使うつもりだったが、さっそく術を発動させてしまう。
「……ボタン…」
目をつむる頭をなでた。ボタンは17歳の新人だった。いまではすっかり普通に任務をこなす。
カカシに暗部待機所に手作りサンドイッチを持参するような破天荒な女の子だ。
最近まで
特別な感情は持っていなかった。
先日の飲み会で、テンゾウのボタンへの見方が、ガラリと変わる。
可愛い………と思った。
カカシを好きだとニコニコと笑うボタンが、純粋で可愛い…と。
だが、すぐに失恋だ。
なんせボタンはカカシが好きなのだから。テンゾウではない。
飲み会の場では、延々と恋話を聞く羽目となるが、嬉しさが勝った。話をして、楽しかったのだ。
ボタンが笑うと、花が咲いたように眩く見えた。
飲み会が終盤に差し掛かる頃だ。
「もうやめる」と突然宣言した。
……仕方なかった。
テンゾウすら
驚いた光景が飲み会で広がる。