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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第24章 戦場


新人が自分の身体を起こし、身体についた砂を払っていると、別の獣面を付けた数名の仲間が、戦闘を終えて駆け寄った。

「カカシ隊長!」

「お前ら大丈夫か。っ!……すぐに見せろ」

カカシは目の色を変えて、担がれた手傷を負った仲間のもとへ向かった。

しゃがんだままの仲間は、太ももの切り傷から、血が大量に流れる。

「……骨は折れてないな」
「はい」

カカシは医療ポーチをすぐさま取り出し、応急処置を施した。

「くッ!」

消毒液の猛烈なしみる痛みに、ゆがんだ表情に変わる。重ねたガーゼに包帯を巻き、出血を止めた。



「よし、これで大丈夫だろ」

カカシは、手傷を負った仲間の目を見て、ぽんと肩をたたいた。

「まだ、やれるな。だが今後は後方に下がること。いいな」

「いえ!!カカシ隊長、アタシはまだやれます!」

手傷を負った部下は、
かぶりを振った。
まだやれる。いけます。言葉を並べた。



「ああ。だから後方で、仲間の援護をしてやれ。頑張れよ。あともうひと頑張りだ」



「っ……はい」

渋々了諾した姿に、目を細めたカカシはすぐに立ち上がる。

天を見上げた。日は南から西向きに傾き始める。カカシは暗くなる前に終わらせたいと思った。日が落ちれば見晴らしが悪くなる。地の利を考えれば、木ノ葉が圧倒的に不利なのだ。



「まだ半分ぐらいだ。気合入れろよ」

「「は」」

カカシはすぐに次のアジトに向かった。新人の男も後を続く。


たしかに
暗部は大変だと聞いた。

新人の男は、アカデミーでは常に1番だった。上忍試験も簡単ではないが、1回で合格を果たす。

エリートだと幼少期から周りで囁かれ続けた。暗部に入隊しても、なんら引けを取らない。つもりだった。


アジト襲撃は
まだ半分しか終わっていない。

足を怪我した忍は先輩だ。
演習では常に負けて、
先輩に危ないところを助けられたこともあった。

上には
いくらでも上がいる。

新人は暗部に来て
肌でそれを体感していた。



奇跡だと思う。

新人の自分が
この戦場で、
ほぼ無傷で立っていることが。



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