第24章 戦場
「なにを血迷ったことを……」
いや、はったりだ。
混乱させる為の嘘八百。
「……ちっ」
男に迷いが出る。木ノ葉の忍に何度も爆札を使用した。げんに、雪ノ里下忍に爆札を身体中に巻き付けさせ、何名か自爆させた。
あのはたけカカシが、
身体中に爆札をつけて自爆するだと?!バカな!
目の前にいる男がとち狂ったように、雪ノ里の忍の目に映る。喉の血をぬぐい嗤う姿が奇妙に見えた。
……この男に
うかつに近づくのは
得策ではない。
「……貴様は我らの血継限界の術をコピーできないはずだ!」
さらに後方を見ないで、
後ろにしりぞく。
「コレで終わりだ!はたけカカシ!死ね!」
雪遁の術‼︎
すぐさま印を結んだときだ。
「……終わりだ」
静かに冷たい声が響く。
敵はまだ気づかない。
真後ろから足音もなく忍び寄る
青い稲光をまとう右腕に。
千鳥‼︎
「ぐ!!……な、に!?」
後ろだと!?バカな!いつの間に!
血反吐が口から飛び散る。雪と雑草の入り混じる地面に、赤く鮮血が染まる。
「っ!!っ貴様……」
目の前にいる奴は別の人間!?
バカな、いつ入れ替わった!?
敵は困惑のまま視線を下ろし、おのれの抉られた心臓を見た。青光る腕が突き抜ける。
おのれ、はたけカカシ……。
やはり貴様が1番手強い……。
カカシが腕を引き抜くと、血飛沫をあげて、大柄な敵は地面にひれ伏した。どすんと地面が音と共に揺れた。
強敵はまだ奥地に潜む。
……こんなもんじゃない。
カカシは冷たい目で、見下ろした。
「……はぁ……危なかったっすよ」
新人の男は術を解いた。カカシに変化した陽動作戦だった。
「ああ、他の敵も現れてな、遅くなった。悪い。だがサンキュ。お前のおかげでチャクラが温存できた。次も頑張れよ」
頑張りたくない、とは言えない。
新人はカカシを見た。身体中に生傷が飛ぶ。深傷ではないが、自分の身体より手傷を負っていた。
「カカシ隊長、頑張ります」
新人の男はカカシに真剣な目で伝えた。
「帰ったら高級寿司ですよ」
「ああ、3代目に山ほど食わせてもらえ」
カカシは優しく微笑を浮かべた。