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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第24章 戦場


あと1分。

カカシは伝達情報を
暗部全員にすべて伝えた。

残党が増えたこと。
医療班が遅れること。

そして……。

最後の一文は、
看過できない言葉で終わる。

腹からこみ上げる熱に
カカシは目を閉じた。

ーー花奏が……この戦に来る。
たった1人で……。

くそ……。

黒い口布の下で口を噤んだ。

来ちゃダメでしょ。
死ぬかもしれないのに。

カカシは、来るならば、
医療班と共にと思っていた。

いっそのこと、
連れてこれば良かったか。
いや、もう後悔しても遅い。

ぐるぐると後悔の念が頭を
暴れ回った。



しかし。
ろ班隊長の立場なら
大いに歓迎だ。

花奏は機敏に動ける。適材適所の行動もできる頼もしい仲間だ。

『私情を挟むのは良くないよ』

花奏がいたら
そんな言葉を投げてきそうだ、とカカシはふと思う。

私情を挟むな。わかっている。

下忍どころかアカデミーで通う小さな子供すら、知るはずだ。

だが、カカシにとって、あまりに苦痛だった。個人的な判断を言うならば、そばにいて、花奏を守りたい。

……もう、
それすら叶わない。


花奏、無理するな絶対……。自分の命は大事にしろよ……。


カカシは頭で花奏へ
気遣う言葉を飛ばした。


そのあと、
すぐに真っ赤に染まる写輪眼の瞳を開いた。見据えるは雪ノ里。

カカシは後方を一瞥する。

行くぞ…。

まっすぐ静かに
合図の腕を振り下ろした。


すぐさま森を駆け抜けるのは、暗部第1班、2班。8名と忍犬が飛び出す。

騒ぎ出すのは雪ノ里の忍達。見張りをしていた雪ノ里の男が逃げる。

獣面を付けた暗部の仲間が、逃げた男の根首掴み、クナイで綺麗に横へ引き裂く。

「グァ……!!」

蛙を潰したような絶命する声が
アジト前で呻いた。


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