第24章 戦場
よほど木ノ葉が憎いか。はたまた木ノ葉落城のチャンスと見込んだか。
カカシの出した結論は
もちろん後者だ。
うちは一族を失った今。逆の立場ならばそう思う。
火影直属部隊の暗部さえ潰せば、木ノ葉の落城など、赤子をひねるモノだ、と敵はもくろむはずだ。
カカシ自身も否定しない。暗部が消えれば、木ノ葉落城の可能性は出る。決してゼロではない。
だがなぁ……。
逆襲を企む雪ノ里を、もう一度
カカシは鋭い目で睨んだ。
そう簡単に
ことが運ぶと思うなよ。
ただで地面に
這いつくばるつもりは微塵もない。
カカシの左目は紅く染まる。暗殺戦術特殊部隊、最前線で闘った意地もある。
逆境だろうが絶対絶命だろうが、散るならば敵もろとも……、そう覚悟の上だ。
カカシは
深い心の根底に暗闇を灯した。
「……あと少しで合図出す。準備しとけ。抜かるな」
背中越しにカカシは
暗部の仲間に指示を出した。
「「は」」
固唾を飲んだ声。屈む姿勢から立ち上がり、各々で戦闘配置につく暗部隊員。枝や枯れ葉がきしむ微かな音のみ。
「カカシ先輩」
攻撃準備を整えたテンゾウが、となりに並ぶ。猫面から見つめる先は雪ノ里のアジト。ただ一点のみ。
「チャクラも気配も、なんら不審な様子は見つかりません。いつでもいけます」
「……ああ。サンキュ。テンゾウ、残党は頼んだぞ。終われば、すぐに新人達の後方援護に回れ。いいな」
「はい」
「期待してるからな、頑張れよ」
狐面越しにカカシは、一瞬目元を緩ませ、テンゾウの背中をたたいた。腹心である後輩の働きを、カカシは心から信頼と期待を寄せた。
「はい……」
テンゾウに神妙な様相が浮かぶ。最前線でカカシと常に闘ったからこそ、わかる。
苦闘するだろう。そして無事に済む任務ではない。目の前にいる先輩が、雪ノ里で死ぬ覚悟で戦場に向かう。
全部わかってしまうテンゾウは、
どうしようもない気持ちで奥歯を噛んだ。
生きて帰れるか。
テンゾウ自身すら、先が見えない。
「カカシ先輩…どうぞ……ご武運を」
「ああ、行ってこい」
頭を深く下げたテンゾウは、すぐに踵を返す。仲間を数名を連れて森の闇に溶け込んだ。