第23章 戦闘と平和の狭間
「あ、サスケ君、あれ、良くない?」
指さした少年のマネキン人形。黒のニット帽に黒いネックウォーマー。中はふわふわだ。紺色のジャンパー。
「いらっしゃいませ。この商品は先週販売されたばかりの新作なんです」
店員さんがニコニコ笑顔で寄って来た。
「特に、ネックウォーマーはマイクロボアが内面に施され、防寒具にバッチリです。こちらの紺色のジャンパーも中綿がしっかり入り、風も防ぎ、軽量タイプになっています」
話が終わると、私は先に言ってた。
「ぜんぶください」
「は?」
サスケ君の手を離して、小さな背中を押して、そのまま試着室に向かった。
「試着してみなよ。ほらほら」
「おまえ、強引って言われない?」
私から渡された130のサイズを受け取った。サスケ君の着てたジャンパーは120。大きめかなと思ったが、子供はすぐに成長する。少し大きめの方が良い。
「これで、いーのか?」
数分後、カーテン開けたサスケ君は、ちょっと恥ずかしそうに斜め下を向いた。
黒の帽子にネックウォーマー。紺色のジャンパー。バッチリだ。
「かわいいーー。じゃあ、ぜんぶください」
「ありがとうございます」と店員さんは、ニコニコしてサスケ君の身につけるタグを切った。
「こちらはどうなさいますか?下取りさせてもらえば、割引しますよ」
「破れてたし、別にいーぜ」
両手をポッケに入れたサスケ君。鏡を見てる。まんざらでもないようだ。
お会計を済ませて、店を出たときサスケ君が財布を出そうとしたから阻止した。
「私からのプレゼントだよ。ね?クリスマスだし」
外はイルミネーションが立ち並ぶ。クリスマスソングが流れる。サンタが子どもにプレゼントを届けるなんて、いつから始まったのだろうか。
手を普通に握った。さっきより温かくなったサスケ君の小さな手が、可愛かった。
「サスケ君、これから使ってね」
「ああ」
笑ったのに、
サスケ君はぷいと、顔をそむけちゃう。
「サスケ君、照れてる」
「うるせぇな…」
歩いて商店街奥を進むと、ある看板表紙に途端に足を止めた。