第23章 戦闘と平和の狭間
外は真っ暗。窓を開けて4階から飛び降りた。サスケ君を探すと、グラウンドの端に光る電灯下にいた。
しゃがんで、腹を出した白い猫とじゃれていた。
「サスケ君、お待たせ。ごめんね、遅くなっちゃって」
すくっと立ち上がり、サスケ君は私を見上げた。
「べつに、コイツいたから」
コイツと呼ばれた白い猫も四つん這いに背伸びをすると、私とサスケ君の足をすりすりと胴体をかすめた。
「ふふ、どこ行ってたの?」
白い猫の背中をなでなでした。授業が始まる前に、この猫はいなくなった。猫は犬みたいに忠実ではない。
「いただろ。2限。木に登って、ひなたぼっこしてたぜ。な?」
サスケ君は猫の顎下をこちょこちょと触った。白い猫は嬉しそうに目を細めた。
2限…。う……。
カカシと荷物室にいた時間だ。
「サスケ君、ご飯食べて帰らない?デートしようよ。ジャンパー買ってあげる。あと、ネッグウォーマーも」
サスケ君が着る青のジャンパーの袖口が短くなって、下に着込んだ上着が見えているのだ。成長している証拠だ。
「…なんだよ、突然。花奏、なんか変だぞ?」
サスケ君が戸惑ってもお構いなしに、小さな手を掴んだ。指先どころか全部冷たい。
「つ、つめた!!サスケ君、あー本当にごめんね?あ、手袋も買おっか、ね?お姉さんが何でも買ってあげるよ」
ぐいぐい引っ張って正門を出た。にゃあ、と1鳴きすると、白い猫はぴょんと、反対方向の瓦の上に登って、去った。
「バイバイー。よし、まず、なに食べよう。なに食べたい?好きなモノある?サスケ君」
「花奏、手なんか外で繋ぐなよ、カッコ悪いだろ!」
なんで男って
みんな繋ぎたがらないの。
「ダメ。つなぎたいの!」
ギュゥウっと私は離さない。サスケ君は絶対に離そうと両手で私の指を掴むけど、私の方が強いのだ。グッと力を込めた。
「っ……、強え…、はぁ……なんでもいーぜ、べつに」
とうとう諦めたサスケ君は、繋がれたまま並んで商店街に歩いた。屋台や電光掲示板が立ち並ぶ。服屋さんに目が行って、中に入った。