第23章 戦闘と平和の狭間
「オラァァ!」と
ナルト君が叫んで突っ込む。
グーだ。顔面を狙うなんて、まあひどい。私はか弱い女の子なのに。
身体を反転させて左腕で止めた。肌が鋭く打ち付く音が鳴る。
「いいパンチだねー、さすがー」
将来は暗部で働かない?
将来有望なナルト君を
勧誘したい衝動に駆られた。
「なに余裕こいた顔してんだ、オラァァ!!」
もう1発、次は私の胸を狙う。両手で交差してナルト君の拳をガードした。だめだ。笑っちゃう。ぶつかる音が響く。私の広角は自然と上げる。ナルト君が本気だ。ガイとの演習みたいで楽しい。
続け様に3発目、4発目。
拳が繰り出される。
手のひらで受け止めた。弾く音。やっぱり強いパンチ。じんじんと手の平が痛い。
「花奏ー!反撃しねーなら行くぜ!!」
真後ろから、フードを被ったままキバが突っ込む。素早く手刀で首を狙った。それは悪手だ。私は屈めるのだから。
しゃがんだ私は足を伸ばす。
前後の片足を払った。ばかめ。2人とも足元がおろそかだよ。
「ってーな!!」
尻もちをついたナルトとキバ。待ったなし。素早く1人目の小さな腹に、拳をそっと当てた。
「ハイ。ナルト君はおしまいね。レバー、脇腹、みぞおち、胸部。それが急所だからね。覚えておいて損はないよ」
にっ、と高みの笑みを見せた。呆然としたナルト。汗が金髪から滲んだ。
「……つえーな、花奏ってば」
「今はね」すぐに追い抜くよ。
大丈夫。笑った途端に影が頭にできる。
「よそ見してんじゃねーよ!」
サスケくんが吠えた。真横で足をふり上げる。さっそく蹴り技とかあり得ない。女の子だぞ。以下略。
大きな衝撃が腕にくる。
「…さすが、うちは」
7歳なんだよね。素晴らしい強烈なサスケ君の足技。むこうずねが左腕に当たる。すねの前面だ。
とっさにしゃがんだままガードした。ぜひ暗部に…略。
「ちっ!」
顔がゆがむのはサスケ君だ。女だけど鍛え上げた暗部現役の腕と、成長途中の7歳の身体はちがう。
あーあ。当たった場所は泣き弁慶の打ちどころ。猛烈に痛いだろうな。かわいそうに。そこは猛者でも痛いのだ。
「…くっそ…」
サスケ君の髪が乱れる。バク転で間合いを取った。
「ふざけやがって……」
サスケ君の負けん気は人一倍だ。悔しさが目に滲んだ。