第23章 戦闘と平和の狭間
「シカマルーー、持ってきたよーー」
ごろごろ、地面を引きずってチョウジが運んで来る。大量のボールを。筒状の網目の籠に20個ぐらい入っていた。
「よし、じゃーいくぜ!」
シカマルの合図にお互い手を叩いた。私も気合を入れる。なまった身体を動かすいい機会だ。
「サスケくーーーん♡」
「サスケくんが助けに来てくれるなんて幸せーー♡」
「サクラちゃぁぁぁーん!!まっててくれってばよーーー!!」
ナルトが木の下で待つサクラに手を振った。ぶんぶんと腕を振る音が鳴る。
「ほらほらサクラ、呼んでるわよ」と山中イノが、サクラのうでを肘で押す。
「いーーーーっだ!わたしはサスケくんが良いの!サスケくーーん♡助けてーー♡」
子どもって、たまに残酷だと思う。
ナルト君は健気で純粋だぞ。たぶん。
「サスケくん」「サスケくん」
サスケくんコールは続く。
ナルトくんコールは鳴らない。
「ナ、ナルトくん……」
ん?私は遠くを見た。大木に多くの女の子が目を♡にしてサスケくんを見つめる。
端っこにいる。人影に隠れた女の子が。それは日向一族御息女。日向ヒナタ様。…ひぃ。
「よそ見してんじゃねーよ!」
突然叱咤が飛んだ。ああ、私のことか。サスケ君が闘志を燃やす。ヤル気満々はナルト君だけではないらしい。苦笑いで構えた。
「じゃあサスケ君いくよーー♡よーい、スタート!!」
サクラが合図の手を挙げると、
一斉に飛び込んで来る。
16名が忍者。敵は4名。お姫様は10名。お姫様だけでも暴動を起こせば、余裕で脱出できると思うが、それを言ったら、この話はお終いだ。
最初に頭が出たのは、
合図より先に走ったナルト君。
ちょっとフライング気味だぞ。