第23章 戦闘と平和の狭間
「敵も忍者も、急所が当たれば脱落だからね。敵を倒したあと、お姫様を助けたら任務完了!オーケー?」
私はピンク色ボールを砂の地面にバウンドさせた。空気がみっちり入った良いボールだ。よく跳ねる。
「きゅ、急所!?えーっとぉ、えっとぉーーー……どこだってばよぉー!!」
ナルト君が困惑して嘆く。なんだと。私も固まる。最初に習う授業は人体のはずだ。構造を把握しなきゃ人は殺せない。
「あーーわかんねーってばよーーー!!」と自分の金髪を両手で掻き毟った。
「とにかく!花奏を倒せばイイって話だろ!おっしゃーーーー!やるってばよぉー!!」
ヤル気満々でまっすぐ指さす。真正面にいる敵の私を。あ、マジだ。
「うんうん。その調子だよ。ガンバってね」
苦笑いで私は頷いた。
いま決めた。決意した。
危険度No. 1のこの少年を。4代目御子息を真っ先に潰そう。身の危険が高すぎる。なんとしても真っ先に。なんて汚い大人だ。
「じゃー……」
ここまで喋ると、
シカマルが前に出た。
片眉をあげて頭をかきながら。ついでに溜め息までつかれた。面倒くさそーに私のそばに来る。なんだなんだ。私はなにもしてないぞ。
「ちょっと待てよ。花奏ひとりかよ。あり得ねーーだろ。敵が女ひとりで、野郎大勢かよ。オレも敵役に回るぜ」と簡単にボールを取られた。
「おいナルト、やる気満々で悪ぃーがな。オレの魔球に当たれば速攻でアウトだぜ?」
ニヤリとシカマルは
不敵に笑みを浮かべた。
「シカマルのヘナチョコボールなんか、ぜってぇーー当たるかってばよ!」
自信たっぷりのナルトは
鼻をこすり、口はしをあげた。
「んーじゃあ、ボクも」
とチョウジも
シカマルのとなりに立つ。
ぼりぼりポテチを持ったまま。最後の1つを口に放り込むと、ぐしゃりと丸めて、ゴミ籠に捨てた。
「シカマル、ボール取ってくるよ」
チョウジ君は
巨体を揺らして荷物室に向かった。
「オレも敵でいい」と油目シノ。黒眼鏡がギラリと光る。だんだん面白くなってきた。