第23章 戦闘と平和の狭間
「花奏ーー、早くやろうよーー」
金髪の山中イノが一つ括りの髪を揺らして、私のほうに手をあげる。すでにクラスの子たちは集まる。
「ナルトくん、それは後でしようよ。いっしょに忍者ごっこやらない?サクラちゃんとイノちゃんがお姫様役なの」
「サ、サクラちゃんが!?やるってばよ!!」
即答だよ。ダッシュで行ってしまった。置いてけぼりだ。私は放り出したボールを持ち、輪の中に向かった。
アカデミー校舎を通り過ぎた。
大きな時計は12時50分をさした。
暗部の仲間は今夜雪ノ里へ到着するはずだ。カカシのことだ。すぐに戦闘を始めない。
雪ノ里の状況を徹底的に調べてから、
開始するだろう。
長年連れ添った仲間だから分かる。
戦闘開始時刻は
明日の朝か昼から。
……ヤナギがもし生きてたら
なんて、言うだろうか。
私は自然と気持ちが
引き締まった。
私は輪の中に入る。やる気満々なナルトくんは準備運動していた。私を完全にヤル気だ。4代目御子息だぞ。手加減が欲しい。
「ねえ、花奏が敵役で本当にいいの?」
サクラが顔を傾けて聞いた。
私は全然かまわない。
なんせ暗部だし大人だし。
「うん。大丈夫だよ。お姫様は木の下に行ってね」
と言った瞬間、女子が全員行ってしまう。
猛スピードだ。
「男の子たちは敵を倒して、お姫様を助けるの。ただし、クナイとか手裏剣は禁止。危ないから。あと、術も禁止ね!」
と私は提案した。
「はぁ!?じゃあ、どうやって倒すんだよ。フホウシンニュウ女」
フードを被ったキバが吠えた。くそぅ。まだ言うか。不法侵入ではないと何度言えば…略。
「手刀で」
私は指を揃えてキバの首下に、
そっと当てた。「うっ…」とキバが怯む。そりゃそうだ。いま本気で狙ったんだから。
カカシの千鳥ならば
首が吹っ飛んだはずだ。