第23章 戦闘と平和の狭間
役は初めから決めていたのか、
サクラちゃんは即答だった。
「お姫様!」
「あ、ずるいサクラ!私だってお姫様がやりたい!」
2人で言い争いが始まる。
おかしいな、忍者じゃない。
私だって
可愛いお姫様になりたい。
ドレスを着てみたい。
「じゃあ、2人はお姫様ね。サスケくんは、なんの役になってもらうの?」
「「お姫様を助けにくる忍者!」」
あえて聞いてみた。
なるほど。サスケ王子様が迎えに来るのか。忍者という名の看板を背負って。
「…息、ピッタリだね。んじゃー私は敵役になるよ。了解ー」
私は諦めて、
教室の扉を開けた。
買収された私は
サスケくんを探した。
みんながいる教室。
自席でサスケくんは本を読んでた。私と目が合うと、途端に席を立ち上がり近寄った。
「おまえ、どこに行ってたんだ、花奏」
え!?…言ったよ?
「火影室にちょっと用事で……。あ、サスケくん、グランドでさ一緒に忍者ごっこしようよ!」
明るく提案した私を、サスケくんは片眉をあげる。綺麗な目を半分に細めた。
「…はあ?オレがやるわけねーだろ」
まーーばっさり。
極寒で会話してるみたいだ。
冷たい。凍える。
あ。
ナルトくんがグランドで待ってるのだ。早く行かなきゃ。確か、「すげーこと」を披露してくれるらしい。なんだろうか。
「サスケくん」
サスケくんの耳に口を近づけて、
手を添える。私は小声で喋った。
「私が敵役になるから。サスケくんの修行相手になるよ。ね?いい練習相手になるよ」
たちまち目が合う。
サスケくんの目が鋭く光った。
「……じゃあ…本気でやれよ?」
静かなる闘志心を燃やし、
静かに聞く。なんか殺気が漂う。
「もちろん。全力投球で頑張るよ。だって、コレは修行だからね」
負けじと、にんまり私は笑った。徐々にまわりに女の子が集まる。サスケくんの答えに固唾を飲んだ。