第23章 戦闘と平和の狭間
カカシと別れた瞬間。
なぜか、
今生の別れに思えた。
花奏は給食のビーフシチューを流し込んで席を立つ。味わう余裕はない。おぼんを抱えて前に立ち、サスケに一言添えて、食器を片付けた。まだ数名しか食べ終わっていない。
「花奏、花奏、オレってば、先にグランド行ってるからな!後からこいよ!」
ナルトがニコニコして手をあげた。すっげーことが花奏を待つ。振り返り笑顔で「うん」と教室を出た。
廊下を歩く。
すぐに真剣な目つきに変えた。
火影室へ。
花奏がいなくなった瞬間に、となりへ話しかけた。3限目から疑惑の念を抱くシカマルだ。
「おい、チョウジ、なあチョウジ!」
一回で返事しろよ!
「え、なに?シカマル」
3杯目のビーフシチューを平らげた少年。ゲフ。ゲップを吐き出す。満足そうに腹をさすった。クラスの中で比較的大柄な体型で、両頬には紅色のグルグルの印が目立つ。
「アイツ、つけようぜ」
「アイツって?」
あまり他人に関心がない。花奏が出て行こうが、特にチョウジは気にならない。なんで?それ美味い?と、今にも喋りそうな顔でシカマルを見た。
「いいから来いって!」
シカマルはチョウジの服を引っ張る。なんとしても正体を暴いてやるぜ。強引に引き連れて教室を出た。
「あれ……いないね」
チョウジは、がらんとした廊下を見て
左右に首をふる。
日差しが窓から明るく届く。いちばん端が上下階段だ。他教室内の談笑が廊下に響いた。
「んなバカな、10秒もたってねーぞ」
シカマルの仰天した様子をよそに、チョウジは教室に踵を返した。花奏よりも大切なことがあるのだ。
「ボク4杯目食べてくるよ」
まだ給食のビーフシチューやデザートのフルーツポンチは残されたままだ。チョウジは使命感に駆られた。
「え? あ、ああ…」
まだ食うのかよ…チョウジ。
ひとり残されたシカマルは、もう一度廊下を見た。やはり目を疑った。この廊下は長い通路。階段までいくら走っても、端まで曲がるのに、時間がかかる。
走る足音は聞こえていない。
花奏が出てから、
わずか10秒。
あり得ないだろ。
術を使ったのか?7歳で?
シカマルの疑惑は、ますます膨らんだ。