第23章 戦闘と平和の狭間
「おい、シカマル」
シカマルは、突然降る低い叱咤の声に、
びくりと身体を硬直させた。
「げ、いや、…はい」
そっと前を向いた。
教壇の前で、
目を吊り上げたイルカ先生と
ばっちり目が合う。
げーー…、やべぇー……。
シカマルは、
罰の悪い表情を浮かべた。
「シカマル、今はキバが読んでる時間だ。大人しく聞きなさい」
「いやだって、花奏が…」
「人のせいにするんじゃない。もういい。次、シカマル、お前が読め」
ーーんだよ。シカマルは反感して片眉をあげた。なんで花奏には言わねーんだ。あと、ナルトにも言えよ。こんなの不公平だ。ったく、めんどくせーなー。
音読する為に、シカマルは
完全に立ち上がった。
読もうとしたが、前を見て固まる。
完全に丸見えだ。
花奏が、ナルトからもらったノートの紙に、なにを書いてるのか、やっとわかった。
……すんげー……写真みてーだ。
絵がうめーなコイツ。
シカマルは目を剥く。
花奏の書いた紙に、建築家が書いたような、設計図が克明に描かれる。
地図か?いや、ちがう。
コレは地形図だ。父ちゃんが任務前に巻物を見てたヤツと似てる。
どこかの里の詳細を花奏は丁寧に描いた。家屋や道に矢印を引っ張り、文章を細かく記入した。まだアカデミーで習っていない難しい漢字が、無数に並ぶ。
木ノ葉隠れ里の地形図か?
いや、火影の岩壁がねーし、木ノ葉より田舎みてーだ。
こんな地形、見たことねーよ。
森や谷、川、そして崖。岩石の位置、木の本数まで克明だ。記憶に残るものを描き出しているのか、ときおり、手を止め、花奏は悩む姿をした。
どこかの里の地形図を
鉛筆で鮮明に再現させていた。
なんのために?
シカマルは疑問が頭によぎった。