第23章 戦闘と平和の狭間
シカマルは眉間にシワ寄せ、うすく目を細めた。眼前の女の子を凝視した。
コイツ…
なんか怪しくねーか。
ミルクティー色の二つ括り。名前は花奏。毛先はくるりと回る天然パーマ。小型犬みたいな髪型。
薄紅の任服。
交換留学生だと言われて、シカマルは素直に納得した。だが。今は訝しげた。どーも様子が変だ。
怪しげな行動は
3限の休み時間から。
花奏が突然席を立つ。ダッシュで教室を出た。
なんだ、トイレか?
シカマルは気にも止めない。クラスメイトと将棋を楽しんだ。チョウジは「お腹すいたなー」とポテチを普通に食う。食う。つーかそれ、2袋目じゃねーか。
チャイムが鳴る間際に、花奏が戻って来た。だが、なんか暗い。
テンションが、すんげー低い。
考えごとをしてるのか、だれとも目を合わさずに、席へ階段をのぼった。なぜかわからねーが。サスケが一番見ていた。アイツにすら、いっさい目を向けなかった。
花奏は硬い表情で座ると、ナルトがすぐに反応した。帰ってきた花奏の肩をぽんぽん叩いて、ニヤニヤと笑う。怪しげな笑みすら浮かんだ。
「花奏!花奏!オレってば、すっげーイイこと思いついたんだってばよ!」
「すっげーこと?」と花奏は、くるくるした茶髪を傾けて揺らした。
「ぜってぇーおもしれーから!昼飯食べたらいっしょに行こーぜ!」
瞳をキラキラ輝かせたナルト。
頬杖をついたシカマルは
たちまちシラけた。
ぜってーつまらねー。どーせナルトのヤツ、イタズラするだけだろ。バカかアイツは。
花奏は唸る。「うーーん」と。
「ちょっと私ね、お昼休み用事があって、それが終わってからでも良い?」
「良いってばよ!」
「あはは。じゃあ、それで」
即答のナルトに花奏は
苦笑いで応えた。
ナルトと会話が終わると
すぐに真顔に変え正面を向いた。
一瞬見えた横顔が、
思い詰めたようにも
シカマルの目には映った。