第22章 葬儀と日常生活へ
「カカシ、どうしたの?」
私は顔を見上げた。
カカシの表情から明るさが消えている。
「さっきはな、演習の話をしたが。ま、ぜんぶ、この任務が終わった後の話だ」
カカシは深く長い息を吐いた。
ゆっくり、同じマットの横に座ると、
私の腰に手を回した。
そのまま自分の硬い胸板に
そっと寄せた。
「4日間里を出る。雪ノ里を壊滅させる任務が命ぜられた。媚薬の犯人が特定したって言ったろ?犯人はな、……雪ノ里の幹部だ。しかも1人や2人じゃない。数十人規模で荒稼ぎ行為をしていた」
「…待って、…雪ノ里を潰すの?」
ヤナギの里を??
耳を疑った。
カカシは
「ああ……」と沈んだ声で応じた。
「これは……、火影さま直々に下された辞令。ま、隣にいたダンゾウ様は、遅過ぎる、と非難されていたがな……」
力なく、カカシは語る。
雪ノ里はこれまで、
幾度も木ノ葉を裏切る。
決して、1度や2度ではない。
木ノ葉の援助凍結による逆恨みが
すべての始まりだった。
資金繰りに苦しんだ忍は、ヤナギの母の両親を拉致監禁した。
ヤナギの母親をスパイにさせ、追い込んだのも、雪ノ里の人間だった。
13年前。
サクモさんやヤナギの両親が亡くなり、木ノ葉の総資産の3分1を失った。
その元をたどれば、
雪ノ里が元凶。
上層部からは幾度も「壊滅させろ」と忠告していた。その度に猿飛さまが「恨みを買うだけだ」と押し止めた。
カカシは重い口を開く。
「まだ……、街に情報は流れてない話なんだけどな。今朝方、とうとう死者が出たのよ。しかも……ガキだ。一般人のな」
カカシの目はさらに下に沈んだ。吐き捨てるように、言葉を繋ぐ。
「覚醒剤より媚薬の依存性は少ない。だが、猛毒だ。分量を誤れば死に至る。雪ノ里の忍は、小遣い稼ぎで始めたようだが、その罪は重い。今回、ガキだけじゃない。10数名が今朝方、同じ場所で命を落とした」
カカシは自分の頭を抱える。