第22章 葬儀と日常生活へ
時計の針が動く。
アカデミーや校庭にチャイムが、大きく鳴り響いた。
「よーし、岩壁登りの授業はここまで!おまえら、教室に帰っていいぞー。降りるとき気をつけろよー」
イルカ先生の号令に、生徒は岩壁から紐を伝い降り、教室に戻った。
私も軽く飛び降りて、
悠々と着地した。
カカシの方へ歩くと、その先を金髪の少年が追い越す。すんごいスピードで。
「……ナルト君?」
カカシの前に立つと、そわそわ落ち着かない。地面の砂を蹴ったり、自分の頭をかいた。
「あ、ああああ、あのさ!あのさ!」
「……あ?なんだよ」
カカシはクナイや手裏剣を装備に戻すと、振り返る。小さなナルトをジッと見下ろす。見られた少年は、なぜか満面の笑みが咲く。
「さっきは、………、ありがとうってばよ!」
へ、へへへ。とナルトは
照れくさそうに笑った。
「……へ?」
予想だにしない言葉に
面食らうは、カカシだ。
「そんで!そんで!兄ちゃん、えーとぉ、すっげー外れてたけどぉ、すっげー格好良かったってばよ!!」
「そりゃ……、どーも」
うんうん。ナルトは頷く。
「だから!だから!落ち込んでんじゃねーぞ、兄ちゃん!頑張れってばよ!」
「………は?オイ、オレはべつに落ち込んでなんか……」
「じゃ、じゃぁな!!」
早口で言い終えると、踵を返してアカデミーの校舎へ、ナルトはダッシュで走った。
私を通り過ぎるとき、ビュッと、ナルトの風が出来るほど、瞬足だった。
金髪から見えた耳は、やけに真っ赤で、私は少年の後ろ姿を見入った。
顔をカカシに戻すと、ポカンとしてる。たぶん、マスクの下は、口が開いているはずだ。
「……ふ、ふふふ、ふふふ」
ダメだ。堪えれない。
私の肩が震える。
「おい、……笑うなよ」
「だって」
あんなに沈んでたカカシの表情が、
いま、少し晴れている。