第22章 葬儀と日常生活へ
「おい、サスケ。花奏の言うこと、ちゃんと聞けよ?お前の母ちゃんみたいなモンなんだからな」
カカシはサスケ君に忠告した。
その返事は冷たい。
「……っ、うるせぇな」
サスケ君の背中越しに
舌打ちが鳴る。
リビングのほうへ
歩いて行ってしまう。
「…ぁあ"?」
カカシの片眉が上がる。
形相に影ができる。
「オイ、いまお前」
険悪な顔で、靴を脱いで
カカシが上がろうとするのだ。
驚いたのは私だ。
「あははは!じゃあ、行ってらっしゃいカカシ!頑張ってね!私もご飯作ったらすぐに行くから!うん!」
ダメだってば!
静止させる為にカカシの腕を掴んだ。
ひきつり笑いも浮かぶ。
まだキツい半眼だ。
カカシは私を見て
「ああ……、んじゃ行ってくる」
と長いため息をついた。
なぜか、
そっと私の肩に手を置く。
自然と顔が近づくのだ。
「えっ」と見上げたのは私。
触れる身体。
柔らかな銀髪。
下ろした口布。
サスケ君が、
いま、この瞬間を、
見ていないことを、祈った。
カカシの唇が甘く当たる。
長い舌が隙間から入り、
甘いキスが降りた。
小さなキスの音が
玄関で鳴ってしまう。
「…んじゃ行ってくる」
「う、うん。あとから行くね」
扉を開けて
カカシは平然と出て行った。
サスケ君がいるのに。
なにをしていくの。
カカシは。
……浮かれてる。
はあ……
大きな息が出る。
振り返った。
なにもなかったように
サスケ君の玄関を上がる。
台所のキッチンに買い物袋を置いた。
サスケ君がそばに寄っていた。
私を覗くのだ。
「顔、赤い」
私を見上げた。
不思議そうな顔で。
「っ!!え、ご、ごめん。なんでもないよ!なんでも。さっそくご飯作ろうっか」
自分の顔を、見られるのが恥ずかしくて、つい早口になっていた。