第22章 葬儀と日常生活へ
私の手伝い
はっきり言って、いらないと思う。
「ねえ、本当に初めて?」
まあ憎らしいほど器用に包丁を使う。玉ねぎをくし切りにして、じゃがいもや人参をピューラーで剥いて、乱切りにしていく。
「ねえ、絶対違うでしょう?」
サスケ君は7歳だ。初めてだと公言していたが。丁寧な包丁捌きに、となりで感心して眺めた。なんと素晴らしいのか。
天才少年だ。
「は? 初めてだよ。だからチラチラ見んなよ。鬱陶しいんだよ」
「う、鬱陶しい…?」
口が、このサスケ君は、べらぼうに悪い。こ、この野郎め。
私の、むーっと怒った顔をよそに、切った野菜をまな板から鍋に入れるサスケ君。ぜーんぜん気にしてないし。
ふんだ。
小さな台の上で大きなヘラを使って、
炒めるサスケ君。
しかし……まあなんと可愛いお姿だろうか。小さなエプロンが、また可愛いのだ。黒髪に可愛いらしい様相。将来イケメンだろうな。
「サスケくん、やっぱ凄いよね。1回教えたら出来るなんて、天才だよ」
「は?普通だろ。レシピあれば分かる」
「いやいや、普通じゃないよ」
私は不器用な方だった。何回、お父さんに教えてもらったか。何回、ピューラーで指を切ったか。何回、味付けを失敗したか。何回、ぼーっとしてて鍋を焦がしたか。何回、包丁で指から血が出たか。
「器用だよサスケ君は。勉強もできるの?だったらさ、アカデミーでもモテるんじゃない?」
容姿端麗。才色兼備。
将来期待の星だろうな。
「…べつに……どうでもいい」
「あーーっそ。モテる男は違うね」
私は、笑みを浮かべて、となりのコンロで、牛脂を入れて赤色の牛肉を焼いた。塩胡椒の下味をつけ、醤油と砂糖で味付けする。
焼いた肉を、
最後にカレーに混ぜて食べるのが好き。我が家は、いつも、このやり方だ。
「なあ、花奏」
鍋で炒めた玉ねぎが飴色に変わってきたから、私は計量カップに水を入れ、鍋に加えた。
「ん?なに?」
鍋の具をぐるぐる混ぜた。もう一度沸騰したら火を緩めて、20分ぐらい煮詰める。そのあと、一度火を止めて、カレーのルーを入れて、焼いた肉を入れる。さらに10分ぐらい焦げないように、混ぜながら煮込んだら完成だ。
超簡単に出来る。
カレーが。