第22章 葬儀と日常生活へ
「やっと眠りおったか」
「はい」
奥の扉から声が届いて、
振り返った。
正装された3代目、猿飛ヒルゼン様が部屋に入り、まっすぐ歩く。そして祭壇の前で一礼し、御焼香した。
ずっと外で待っておられたようだ。蝋燭や線香を新しいものに交換し、火を灯された。
「意志が強い男じゃ、サスケは」
猿飛さまは、ふ、と優しい表情を浮かべサスケくんの頭を撫でた。そのままとなりに座り、白木祭壇に飾られた遺影を見つめる。
「前に言ったが、サスケの護衛しっかり頼むぞ。さっさと退院しおって、コヤツは、まったく…」
「兄弟でも性格は違うようですね」
サスケ君の背中に添えた手を
優しくポンポンと撫でた。
「うむ。ああそれと」
と猿飛さまは
注意事項を付け足す。
「花奏が暗部の人間じゃと、決して他の生徒にバレてはならんぞ。保護者が絡めば厄介じゃからのぉ。うちは事件以来……異常なほどに警戒心を持っておるようじゃ」
「警戒心…ですか」
「うむ」と頷く3代目の瞳は暗く沈む。
小さな黒髪の頭を撫でた。
「サスケが、このまま成長すれば、同じような事件を起こすのではないか、我が子へ暴力を振るわぬか……とな」
猿飛さまは苦虫を噛み潰したように
口を噤んだ。