第22章 葬儀と日常生活へ
「サスケ君…大丈夫?もう寝る?」
通夜が粛々と終わり、
その後は通夜振舞い。
食べたのは丸い器に入ったお寿司。食欲がないのか、サスケ君は半分以上残した。
食事のとき気づく。
サスケ君のお箸の持ち方が、驚くほど綺麗なのだ。背筋を伸ばし、行儀よい姿勢だった。家庭教育が、きっちりとされている証拠だ。
食後、また最前列に並んで席に座った。静かに、ろうそくの灯りを見守った。
ゆらゆら、優しく揺れる火。
線香の細い煙が天井に上る。
口数が少なく、どちらかといえば、
沈黙の時間の方が多い。
夜中の11時を回った頃だった。
とうとう……。
サスケ君に睡魔が襲う。コクリコクリと、小さな黒髪が揺れるのだ。大きなまつ毛の長い瞳が、半分も開いてない。
「……ん…」
床を見て、
目をつむったり開けたり、
やけに忙しい。
「…サスケくん」
見かねた私は
サスケ君の顔を覗いた。
「私、起きてるよ。あっちの休憩室で寝てきなよ。ね?」
となりの部屋に和室がある。布団もあるのだ。サスケ君はまだ7歳。さすがに徹夜はしんどいだろうと思い、そう促した。
「アイツと……同じことを言うなよ」
「あいつ…?」
サスケ君に聞き返したけど、返事は戻らない。口の中で舌打ちした音が聞こえる。私は困惑する。
「ごめん、だれの話?」
「とにかく」
サスケ君はゴシゴシと目を擦る。さらに自分の膝を、強く2度叩いた。
「オレが喪主だから。ここを一歩も動かねーよ。絶対に」
「……でも」
「しつこいぞ花奏。オレは疲れてない」
サスケ君は私に、
キッと厳しい目を向ける。
そして口を閉じて前を向いた。
「…本当に?」
「ああ」
それから30分。
さらに時間が経った。
サスケ君。もうダメだと思う。
フラフラと、頭が揺れて眠そう。
「見んなよ」
私が見ると怒る。
むぅって、口をへの字にする。
「……いじっぱり」
小さな時の
だれかさんにソックリ。
小さい頃、カカシに熱があって、私が心配したら、すぐに怒った。「ほっといて」て。男の子は弱音を吐けないのだろうか。強がる人ばっかだ。